台南 -Tainan-
1624年にオランダ人が上陸し、62年には明の軍人だった鄭成功(ていせいこう)がオランダ軍を一掃。以後、台湾の中心として長らく政治や文化を司ってきた台南。街をぐるりと囲む臺灣府城が築かれたことから、街のあちらこちらにいまでも城壁など史跡が残っている。中心部から5キロの長閑な港町、安平(アンピン)は、ランドマークである安平古堡(こほう)周辺とともに、台湾で最も栄えた最古の町。レンガ造りの重厚な家屋が立ち並び、古の時代にタイムスリップしたような錯覚を覚える。
美食の都として知られる台南では、小吃(シャオチー)と呼ばれる小皿サイズの郷土料理のほか、多彩なローカルグルメが楽しめる。年間を通して温暖で安定した気温のため、マンゴーなど果実の栽培も盛ん。滞在中はできるだけ土地の名産を味わって豊かな食文化に触れたい。
最近では老房子(ラオファンズ)と呼ばれる古い住宅のリノベーションが活発で、独自のセンスで改装された宿やカフェなどが急増中。古きよき姿とモダンなムードがうまく絡み合ったいまの台南は、食だけにとどまらないフレッシュな魅力に満ちている。
赤い壁の大天后宮は、縁結びの神様である月下老人が祀られている。
老房子特有の鉄格子、鐵窗花は当時、各家庭の個性を表現していた。
日替わりで開かれる夜市は地元民の夕食の場。最大規模は花園夜市。
町角の小吃店。手際よく麺をあえていく。
水仙宮市場は庶民の台所。生鮮品、惣菜、乾物などが一堂に並ぶ。